こんにちは!最近無線通信について勉強を始めたので、電波の基本単位である”デシベル”について、備忘録もかねて解説していきます。

CCNP and CCIE ENCOR の公式ガイドの内容を僕が自分なりの解釈でまとめたものなので、試験対策にもなると思います。

【目次】

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デシベル(dB)とは

デシベル(Decibel)は音の強さや電力比を表す際に用いる単位で、~dBの様に表記します。

実はこの単位は”デシ(Deci)” と”ベル(Bel)”に分解することができます。
前者はデシリットル等でも使われる接頭語で、10分の1を意味します。
後者は電力比を表します。

無線ではかなり小さい信号(電力)を扱うことも多いので、Belの10分の1である”dB”で表したほうが都合がいいのです。

デシベルの種類

先程、デシベルは”電力比を表す単位”と言いましたが、基準となる電力によっていくつか種類が存在します。
また、どの種類のデシベルの計算にも常用対数を用います。
※常用対数…底が10の対数。log10()の形になる。

詳細な対数の計算については割愛しますが、理解できなくてもそれほど問題はないと思います。

無線で使用するデシベルには、主に以下の4種類の単位があります。
 ・dB(デシベル)
 ・dBm(デシベルミリワット)
 ・dBi(デシベルアイソトロピック)
 ・dBd(デシベルダイポール)

dB(デシベル)について

dB (デシベル)
→二つの電力(信号)を比べる際に用いる単位。二つの値によって導かれる”相対値“であることに注意してください。

デシベルを求める式は以下の様になります。

P2はソースとなる電力, P1は比較対象となる電力が入ります。単位はどちらもmW(ミリワット)です。
先頭にある”10″は、計算した値を”デシ”に直すためにあります。

しかし、実際はそれほど高度な手計算を要求されることは少ないと思いますので、以下のルールを覚えておけばとりあえず大丈夫でしょう。
 ・0dB = 1mW
 ・3dB = 2mW
 ・10dB = 10mW
例えば、先ほどの式のP2/P1の計算結果が10mWとなるようであれば、P2とP1の電力比は10dBと言えます。

※ちなみに3dB = 2mW は概数で、実際は3.010…となるが、3で計算して大丈夫な場合が多い。

上記のルールを利用することで、二つの電力比(dB)が求められます。
以下の図でいくつか電力比を計算してみましょう。

BとAを比べてみます。
先ほどの式のP2, P1の部分に値を代入すると以下の様になります。

よって、括弧の中身が2mWとなるので、
答えは”3dB”となります。

続いてCとAを比べてみます。
先程と同様に代入すると、80/4 = 20mWとなります。
この場合は20mW = 10mW x 2mW と考えてください。
すると、10dB + 3dB と置き換えることができ、答えは”13dB”です。

ここでポイントなのは、”10mW x 2mW”が、”10dB + 3dB”に置き換えられることです。
詳しくは割愛しますが、log同士の乗除算は加減算に置き換えることができます。

dBm(デシベルミリワット)について

dBm (デシベルミリワット)
 →基準値となる電力として1mWを採用し、電力を定量的に表すための単位。dBを求める式のP1の部分が1mWで固定になるイメージで、これは”絶対値“として扱います。

dBは二つの電力を比べるのに使用しましたが、dBmはその送信機が持つ純粋な電力レベルを表すことができます。

以下の例で計算してみます。

まず、Aの送信機は200mW = 10 x 10 x 2 であるため、
dBmに直すと10dBm + 10dBm + 3dBm = 23dBm となります。
同様に、Bの受信機の電力は 10dBmとなります。

すると、AからBに信号が届くまでの間に、いくらか信号レベルが低くなっていることがわかると思います。(Net Loss)
これは、” 23dBm – 10dBm = 13dB” として求めることが出来ます。

dBm同士の計算結果の単位がなぜdBになるのか?
これは、二つの値を比べている(=相対値)ためです。

dBi(デシベルアイソトロピック)とdBd(デシベルダイポール)について

この2つの単位を説明する前に、まずはアンテナ利得(ゲイン)について理解する必要があります。

アンテナ利得
 →アンテナが、受信した信号を”どの程度の増幅できるか”を表す。つまり、アンテナ自身は電力を持たないため、何か基準を設けて比較することで、パフォーマンスを測定する。

dBi (デシベルアイソトロピック)
 →等方性アンテナ(isotropic antenna)を基準にして利得を表す単位。その他の単位と同じように、0dBi = 1mWとして扱う。つまり、”絶対値“として扱う。

等方性アンテナとは、360度均等に信号を出す理想的なアンテナのことです。実在はしませんが、基準値として都合が良いため採用されています。

dBd (デシベルダイポール)
 →ダイポールアンテナ(dipole antenna)を基準にして利得を表す単位。その他の単位と違い、0dBd = 2.14dBi として扱う。

dBdは、実在するダイポールアンテナを基準にしています。カタログではdBdで利得を表記することもあるので、dBiに換算してから考えるとわかりやすいかもしれません。

○リンクバジェット(Link Budget)
 →送信機から受信機に至る経路の損失(loss)と利得(gain)をもとに、リンク全体の収支を計算する事。またはその値を示す。

以下の図を基に、Net Lossを計算してみます。

まずA側の最終的な出力を求めます。送信機の電力だけでなく、ケーブル伝播中のロスや、アンテナによる利得があることに注意してください。
すると、20dBm – 2dB + 4dBi = 22dBm となります。

次にB側の最終的な受信電力がどの程度になるか計算します。
今回は割愛しますが、Net Lossは距離と周波数より一定の数値を求めることができます。
すると、22dBm – 64dB +4dBi -2dB = -40dBm となります。

また、dB, dBm, dBiなどの単位が混在しているにも関わらず普通に加減算を行っていますが、これは問題ありません。

問題になるのは、アンテナ利得がdBdで表記されている場合です。この場合は単位をdBiに直してから計算すると良いです。

おわりに

いかがだったでしょうか!
今回は無線の基礎であるデシベルについて解説してみました。

様々な単位があったり、対数が出てきたりと難しいイメージですが、高度な手計算は要求されないので、考え方を理解しておけば大丈夫だと思います。

僕も初めて勉強する分野なので、至らない部分ありましたら、コメント等でアドバイスいただけると幸いです。

最後までありがとうございました!