JANOG 51 で出題された level 1-4 の問題について、
本ブログで問題の解説を代理で公開します。
作問を担当いただいた村久木さん、ありがとうございました!
【目次】
トポロジ
問題文
あなたはある企業のネットワークエンジニアである。
この企業は大阪に本社、東京に支社がある。
現段階ではOsaka-AのEthernet1/1から通信可能なのはTokyo-AのEthernet1/1、Osaka-AのEthernet1/2からOsaka-BのEthernet1/1のみで、Osaka-BのEthernet1/1からTokyo-AのEthernet1/1への通信が出来ない。
Osaka間はripを使用している。Tokyoは別の方法で通信することになった。Osaka-Bから支店であるTokyo-Aへの通信を全て可能にしてほしい。
ゴール
Osaka-B の各インタフェースからping コマンドで200.1.1.1, 201.201.11.1, 201.201.12.1が通ること
制約(禁止)事項
Osaka-Bのデフォルトゲートウェイを200.1.1.1/24と設定すること
Tokyo-Aでのripの記入は禁止
Loopbackにipアドレスを記入することは禁止
問題解説
JANOG51 NETCONにご参加いただいた皆様ありがとうございました。
今回、育成枠として初めて問題作成に携わらせていただきました。
JANOG51 NETCON にて出題した「Level1-4」について解説します。
問題点
今回の問題点は2つあります。
1つ目はルーターのルーティング設定不足の為、Osaka-BとTokyo-Aがお互いの経路情報を学習していないことでした。
2つ目はTokyo-AからはOsaka-Bのloopback1までの経路情報が不足しており、loopback1とTokyo-A間の疎通性が無いことでした。
解決方法
以下の解答を想定していました。
・Osaka_Aでip routeの設定、route-mapの設定、redistributestaticの設定
・Tokyo_Aでip routeの設定
・Osaka_Bのloopback1へのripの適用
採点基準
採点基準は以下となります。
50%:Osaka_BのEthernet1/1からTokyo_Aへの通信が可能になること
100%:Osaka_BのEthernet1/1とloopback1からTokyo_Aへの通信が可能になること
操作手順
>Osaka_Aでip routeの設定 ip route network mask ip-address | interface
>宛先ネットワークを手動で設定したルートのことです。
>宛先ネットワークをTokyo-Aのloopback1,2に指定し、ネクストホップをTokyo-AのEth1/1にします。
Osaka-A#configure terminal
Osaka-A(config)# ip route 201.201.11.0 255.255.255.0 200.1.1.1
Osaka-A(config)# ip route 201.201.12.0 255.255.255.0 200.1.1.1
>ip routeの設定
>宛先ネットワークをOsaka-Bに指定し、ネクストホップをOsaka-AのEth1/1にします。
Tokyo-A#configure terminal
Tokyo-A(config)# ip route 150.100.0.0 255.255.0.0 200.1.1.2
>route-mapの設定 route-map map-name [permit | deny]
>ルートマップではmap-nameと言う任意の名前を設定し、permit(許可)かdeny(拒否)を指定することで、様々な処理が出来ます。permitとすることで、BGPルートを許可することになります。
Osaka-A#configure terminal
Osaka-A(config)# route-map netcon permit
>redistributestaticの設定 address-family ipv4unicast redistribute static route-map map-name
>router rip0(Osaka間)に再配布の設定を行うことで、Osaka-BのEth1/1からTokyo-Aまで、疎通が可能になりました。
Osaka-A(config)#router rip 0
Osaka-A(config-router)# address-family ipv4 unicast
Osaka-A(config-router-af)# redistribute static route-map netcon
☆ここまでが採点基準の50%になります。
>loopback1へのripの適用
※Osaka間ではrip 0(0はinstance-tag)を使用しています。
>loopback1にもrouter rip 0を適用することで、Osaka-B全てのインタフェースからTokyo-Aへの疎通が可能になりました。
Osaka-B#configure terminal
Osaka-B(config)# int loopback1
Osaka-B(config-if)# ip router rip 0
>疎通確認方法
>これらを実行し、疎通確認が出来たら問題は解決できたと言うことになります。
Osaka-B#ping 200.1.1.1
Osaka-B#ping 201.201.12.1
Osaka-B#ping 201.201.11.1
Osaka-B#ping 200.1.1.1 source-interface loopback1
Osaka-B#ping 201.201.12.1 source-interface loopback1
Osaka-B#ping 200.201.11.1 source-interface loopback1
最後に
想定していた解答だけではなく、様々な解決方法を見ることが出来てとても勉強になりました。ありがとうございました。